0060

尼池山から宝蔵山、白山


【日時】 2000年11月23日(木)
【メンバー】 単独
【天候】 晴

【山域】 白山粟ヶ岳山塊
【山名・よみ・標高・三角点・県名】
 尼池山・あまいけやま・462m・なし・新潟県
 宝蔵山・ほうぞうざん・897.1m・三等三角点。新潟県
 白山・はくさん・1012.4m・二等三角点・新潟県
【地形図 20万/5万/2.5万】 新潟/加茂/越後白山
【ガイド】 越後の山旅上巻(富士波出版社)

【時間記録】 6:20 新潟発=(R.49、亀田、R.403、加茂、出戸、中大谷 経由)=7:30 宝蔵山・中大谷登山道入口〜7:38 発―7:58 十二山ノ神(柿ノ木平)〜8:02 発―8:07 鉄塔―8:22 「尼池山尾根に至る」の標識―8:36 上高柳分岐―9:18 御前清水〜9:25 発―9:51 宝蔵山―10:12 890mピーク〜10:20 発―11:00 白山〜11:08 発―11:41 890mピーク〜12:05 発―12:24 宝蔵山―12:41 御前清水―13:08 上高柳分岐―13:17 「尼池山尾根に至る」の標識―13:25 鉄塔―13:30 十二山ノ神(柿ノ木平)―13:44 宝蔵山・中大谷登山道入口=(往路を戻る)=16:10 新潟着

 新潟平野の東端に位置し、背後に川内山塊を擁する白山は、古くからの信仰の山として、現在では、登山の山になっている。北端の神戸山から始まる稜線は、白山から宝蔵山、さらに鞍部の橋立を経て、権ノ神岳から粟ヶ岳に続いている。宝蔵山へは、麓の三つの集落からの登山道が開かれているが、白山に比べて登る者は少ない。白山から宝蔵山への縦走路は、現在では登山道が整備され、日帰り登山を楽しむことができる。

 宝蔵山から白山への縦走路は、97年11月8日に、上高柳登山口から橋立経由で登り、宝蔵山の山頂に中大谷からはっきりした登山道が上がってきているのを見た。歩かなければと思いながら、3年経ってしまった。寒さも厳しくなって初冬の天候になってしまったが、晴の予報が出て、展望を楽しみに出かけることにした。
 中大谷の集落の奧に進んで用水池を過ぎると、杉の植林地になり、直に右手に「宝蔵山・中大谷登山道入口」と「柿ノ木平登山口」という標識が現れた。林道は先に続いているので、この看板を見落とさないように注意が必要である。入口脇には車数台のスペースがあり、車の方向転換もままならぬ上高柳登山口に比べれば、その点では安心である。
 登山道に進むと、簡易水道の貯水槽があり、その手前から尾根の登りが始まった。じぐざぐの登り僅かで尾根の上に出ると、林道並みに広い道が続いていた。周囲にはナラの林が続き、落ち葉を踏みながらの歩きになった。緩やかな登りが続いたが、急な所では、霜で濡れた落ち葉のために滑らないように注意が必要であった。
 杉木立が現れると、祠がまつられ、十二山ノ神(柿ノ木平)という標識が立てられていた。左手の谷に向かって踏み跡が分かれ、「かくし小屋清水」という標識が掲げられていた。この一帯は、炭焼き山として、かつては人が入っていたようである。
 十二山ノ神の少し先で、送電線「中越幹線」の鉄塔の下に出た。右手の上高柳側から林道が上がってきていた。下山時に、林道終点広場に車が停まっていた。帰りの途中で、上高柳に回って林道入口を見ると、鎖が垂れ下がっており、進入禁止の林道を登ってきたもののようである。
 鉄塔から先も立派な道が続き、「尼池山尾根に至る」の標識が現れた。地図にある、尼池山から北の延びる能代川左岸の尾根を尼池山尾根というのだろうか。この先で尼池山のピークに達するのかと思いながら登り続けると、上高柳への分岐に出てしまい、結局尼池山の位置は判らないままなってしまった。尼池山は、麓から見るとピークに見える尾根の張り出しで、歩いているうちに知らずに通過してしまったようである。
 分岐から上高柳に向かっては、幅広の道が下がっていた。97年11月に、鈴木眞さんがこの道を下ろうとした時は、途中で薮になって引き返したというが、その後整備されたようである。登山道脇には、刈られた枝が山積みにされていた。
 高度が上がるにつれて、素晴らしい展望が広がってきた。朝靄の中に、角田、弥彦、国上の三山が浮かび、紅葉に染まった新津丘陵が横に広がっていた。谷を挟んだ荒沢峰が次第に同じ高さになってきた。登山道の所々を雪が覆うようになったが、陽射しが暖かく、日溜まりの歩きを楽しむことができた。
 御所平で前宝蔵山766mピークを北に巻くようになると、御前清水の標識が現れた。左に下ってみると、すぐに湧き水に出た。水を汲んで飲むと、周囲の雪景色に反して、なま暖かかった。この清水から数分前にも、小さな沢を跨ぎ越すところがあり、そこにも水が流れていた。標高の高い所にある水場は有り難いが、暑い時期のこの山はヒルが恐くて近寄らないので、実際の御利益にあずかることは無さそうである。
 宝蔵山も目の前に迫り、急な登りになった。傾斜が緩むと、宝蔵山の山頂広場に到着した。広場は灌木に囲まれて展望がないためか、少し手前の尾根の脇が刈り払われて展望地になっていた。広場から少し進むと、白山から粟ヶ岳への縦走路に合わさる三叉路に出た。いくつもの標識があったが、白山と宝蔵山が共に右への矢印で示されていた。宝蔵山へは、白山とは逆の左を示していなければならないのだが。
 宝蔵山から緩やかに下っていくと、次の890mピークで、白山方面の展望が広がった。このピークからは、烏帽子山を経て荒沢峰へ尾根が下っている。薮の中をのぞいてみると、残念ながら踏み跡のようなものは無かった。この先の尾根からは、川内山塊の遮るもののない眺めが広がった。幾重にも稜線が重なり、それぞれのピークを見分けることは難しかった。遠くに見える双耳峰は、会津磐梯山のようであった。この展望は、白山の山頂でも見ることはできず、このコースのハイライトといっても良い。
 ヒド状の窪地の急斜面を登り切ると、避難小屋の脇に出た。この2月には、吹雪の中でお世話になったが、その時とでは雰囲気がまったく違っていた。ここまでは人には会っていなかったのだが、白山の山頂広場は大勢の登山者で賑わっていた。菅名山塊や五頭山塊が目の前に連なり、その左手には、新潟平野が広がっていた。飯豊連峰もすっかり白くなっていた。
 お昼時ということもあり、山頂は話し声も賑やかであった。「ところで幾つ。」、「24」、「私もそれくらい」という声が耳に入ってきた。百名山の自慢話であった。素晴らしい展望を前にして、どこそこの百名山はという話声が、周りの人間に自慢したげに声高に続いた。自分もあのように話していたのだろうか。
 白山山頂での休憩は諦め、宝蔵山に向かって引き返すことにした。逆光でシルエットになっていた粟ヶ岳も、太陽が頭上に上がるに連れて、はっきりと見えるようになってきた。真っ白な吹き溜まりのような所もあり、今シーズンの粟ヶ岳は終わったようであった。890mピークに戻って昼食とした。暖かい陽気に、ビールが旨かった。
 ほろ酔いのせいか、濡れ落ち葉が滑るためか、下りの途中で数度尻餅をついた。中大谷登山道は、全般的に危険な所はなく、良く整備されたコースであった。途中で出会った登山者は4組5名だけであったが、白山への登山コースとしてもっと利用されても良いコースである。

山行目次に戻る
ホームページに戻る