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疣岩山、飯豊本山


【日時】 2000年8月12日(土)〜13日(日) 1泊2日
【メンバー】 単独行
【天候】 8月12日:晴れ 13日:曇り

【山域】 飯豊連峰
【山名・よみ・標高・三角点・県名】
卷岩山・まきいわやま・1575m・なし・新潟、福島県
疣岩山・いぼいわやま・1653.5m・三等三角点・新潟、福島県
飯豊本山・いいでほんざん・2105.1m・一等三角点本点・福島県
【地形図 20万/5万/2.5万】 新潟/飯豊山、大日岳/飯豊山、大日岳
【ガイド】 山と高原地図「飯豊山」(昭文社)

【時間記録】
8月11日(金) 20:30 新潟発=(R.49、徳沢、R.459、奧川、弥平四郎 経由)=23:10 祓川駐車場  (車中泊)
8月12日(土) 5:00 祓川駐車場発―5:15 祓川山荘―6:39 水場〜6:45 発―6:53 松平峠〜7:08 発―7:51 清水入口―8:02 卷岩山分岐〜8:12 発―8:19 獅子沼分岐―8:26 疣岩山〜8:30 発―9:08 三国岳〜9:20 発―10:04 七森〜10:15 発―10:37 種蒔―11:00 切合〜11:42 発―12:20 草履塚―12:35 姥権現―13:19 一ノ王子―13:27 本山小屋―13:46 飯豊本山〜14:05 発―14:24 本山小屋―15:09 姥権現―15:28 草履塚―16:00 切合  (テント泊)
8月13日(日) 5:42 切合発―6:06 種蒔―6:25 七森―6:59 三国岳―7:36 疣岩山〜7:40 発―7:45 獅子沼分岐―7:49 卷岩山分岐―8:11 卷岩山―8:48 上ノ越〜9:05 発―10:01 祓川駐車場=(往路を戻る)=13:10 新潟着

 飯豊本山は、古くから信仰登山の対象となっている、飯豊連峰を代表するピークである。福島県側からは、川入からのコースが多く利用されているが、弥平四郎から卷岩山を経て三国岳に至るコースも開かれている。

 この週末は、お盆がらみとなり、道路や山は混雑が予想された。峡彩ランタン会の夏山合宿が飯豊で開かれるが、お盆の平日に開催ということで参加はできなかったが、飯豊に心が引かれていた。飯豊の一般登山道については、全てを歩きたいものと思っているが、弥平四郎から疣岩山を経由するコースはまだ歩いておらず、巻岩山から上の越へのコースも、鏡山からのコースに繋ぐために歩きたいと思っていた。三国岳から先の飯豊本山までの様子は判っているので、花を見に、テント泊で気楽に歩くつもりで出かけた。
 鏡山を二度登っているので、弥平四郎、さらにその先の祓川駐車場までの林道の様子は判っていたので、夜間でも無事に車を走らせることができたが、初めてだと、道に迷ったり、未舗装の林道に不安を覚えることになろう。弥平四郎から先の林道は、未舗装で、路面が荒れている所や崖縁で路肩が弱い所もあり、夜間の走行はあまり勧められない。祓川駐車場には、10台程が止まっていた。
 翌朝は、もう少し早く起き出すつもりであったのだが、雨上がりの曇り空で薄暗かったため、ぐずぐずして出発が遅れた。ここのところの山行で疲れがたまっているのか、あるいは緊張感が無くなっているのか。
 祓川山荘への登山道は、一旦奥川に向かって下降し、渡ってから沢に挟まれた中尾根の登りになる。わずかな登りで傾斜が緩むと、左手に祓川山荘が現れた。その先は、ブナ林の中の緩やかな登りが続いた。飯豊の登山道は、林道は別として、いきなり急な登山道で始めるものが多いが、その点、このコースは自分のペースを掴みやすい。長坂峰から続く稜線には上がらないまま、山腹を緩やかに巻く道が続いた。途中で水場があり、冷たい水を飲んで元気を取り戻した。時間も少し遅いこともあるが、気温がかなり高くなっていた。首に巻いたタオルも汗を絞れるほどになっていた。テント泊の荷物ということもあり、ゆっくりペースの登りを続けるしかなさそうであった。
 谷を詰め、短い急登を終えると、松平峠に到着した。ガスの切れ目から疣岩山が高く聳えるのが見えた。この先の登りは一番の頑張り所のようであったが、まずはひと休み。岩っぽい痩せ尾根の登りが始まった。稜線近くで、水場の標識が現れた。覗き込むと、ロープが下がっており、かなり下がる必要がありそうなため、そのまま通過とした。登りの途中で、センジュガンピの花が現れた。この花は、98年7月18日の大日岳へのオンベ松尾根の登りでも現れて、急登の途中を慰めてくれた。
 稜線に上がると、上ノ越からの道が左から合わさった。この道は、帰りに辿る予定。稜線の西側を巻いていくと、分岐に出て、獅子沼への道が西に下っていた。地図にもこの沼は記載されておらず、どこにあって、どのような沼なのかは判らない。東に向きを変えてひと登りすると疣岩山の頂上部に達っし、少し北に進むと三角点が登山道の中央に置かれていた。
 ガスが切れて、三国岳方面の展望が開けて三国小屋も目に入ってきた。疣岩山から三国岳へは一旦下り、小ピ−クを越して登り返しになるが、全般的には緩やかな稜線が広がっている。ガスの切れ間から日が射すようになると、耐えられない暑さになった。ズボンの中が蒸れるので、裾をまくって半ズボンにした。涼しくてよかったのだが、夕方までには、ももが日焼けしてヒリヒリし始めた。三国岳手前には草原が広がり、終わりかけのようであったが、ニッコウキスゲが咲いていた。時期が早ければ、お花畑が楽しめる所かもしれない。
 かなり疲れて、三国岳に到着。小屋の日陰に入ってひと休みした。おばさんが、同じように日陰に入るため、向かい合うように腰をおろした。梨を剥くのを見るともなく見ていると、一切れ分けてくれた。水気があって美味しかった。余程、もの欲しそうな顔をしていたのかな。
 座り込んでいたのでは到着しないので、歩き始めた。鎖場も現れる小ピークを越していく道は、体力の消耗も激しかった。適当な日陰でひと休みしようとしても、腰を下ろしやすいところは日が当たっていた。種蒔に向かっての登りに掛かる頃には、今日の泊まり場は、一ノ王子か御西までという頑張りの気持ちはなくなり、切合でザックを放り出すことばかりが頭に浮かぶようになった。ようやく種蒔に到着すれば、後は草原の中の緩やかな道となり、僅かに下って切合に到着。
 切合の周辺は、タカネマツムシソウの大群落になっていた。種をまいたコスモス畑のように紫の花が揺れていた。ついこないだ登った頼母木山周辺では初夏の花だったのが、晩夏の花に衣替えが進んでいるのには驚いた。小屋で受け付けをして、背後のテン場でテントを張り、昼食をとった。
 サブザックに最低限の荷物をつめて、カメラを下げて飯豊本山まで往復することにした。草履塚への登り付近は残雪が残り、この周辺では、ミヤマキンポウゲ、テングルマ、アオノツガザクラ、ミヤマカラマツソウの花が咲いていた。草履塚を下って、姥権現の前に出て、手を合わせた。石像は、赤い前垂れをして、頭にはゴアのレインハットをかぶっていた。会う度に違った姿をしている。なかなかおしゃれである。
 「気に入った帽子を被った登山者が通りかかると、一迅の風で帽子が飛ばされる。諦めた登山者が去ったあとには、姥さまの頭にその帽子が。」というはずはないであろうけど。
 姥権現の前には、ハクサントリカブトの群落があり、この一帯ではここだけのために、ちょっと不気味な感じがする。続いて御秘所の通過。そう難しい岩場ではないが、足元には注意しながら通過。チシマギキョウやタカネマツムシソウの花を眺めながら登っていくと、御前坂の登りになる。重い荷物はおいてきたので、セカンドのギヤ比で登ることができた。一ノ王子には、数張りのテントが張られていた。本山小屋は、昨シーズン中は、台風で屋根が吹き飛ばされたままになっていたが、新しい建物に変わっていた。
 本山小屋までくれば、頂上まではのんびりした歩きになる。ガスも上がり始めて、僅かに盛り上がった飯豊本山の頂上も目に入ってきた。背の低いハイマツ帯の広がる稜線を歩いていくと、青い花が目に付いた。良く見ると、イイデリンドウの花がそこかしこに咲いていた。写真を撮りながら歩いていくと、飯豊本山の頂上に到着した。これで、4回目の飯豊本山になった。日本百名山のうちでは、一番登っている山になった。子供の時を含めれば、燧ヶ岳も4回で、同点ではあるが。次席は、3回の苗場山。
 岩の上に腰をおろして、ひと休み。何度目かの山は、登頂の喜びよりは、山頂の憩いという感じが強い。ガスも切れ始め、宝珠山や北股岳の眺めを楽しんだ。御西岳直下には、豊富な雪田が残っていた。大日岳は、残念ながら雲に隠れたままであった。
 花の写真を撮りながら、のんびりと切合に戻ることにした。
 翌朝は、明け方に大日岳のシルエットが浮かび上がったが、明るくなる頃にはガスが出てしまった。眺めも期待できそうもないので、下山に移ることにした。切合小屋の泊まり客や、三国山に戻るまでに出合った登山者は、それ程多くはなかった。
 疣岩山から上ノ越への道に進んだ。この道が整備されたのは最近のことで、道の刈り払い状態も少し荒い感じがする。裏川左岸に伸びるこの尾根は、大日岳と向かい合う位置にあるのだが、道は反対側の奧川よりに付けられていた。昨年登った代塚山は良く眺めることはできたのだが、大日岳は、木立の間からやっと見える状態であった。鏡山山頂は、刈り払いが過ぎている感もあるのだが、この尾根の途中にも、見晴らしの休憩ポイントを作ってくれると有り難いのだが。卷岩山を過ぎると、急な下りが続いた。
 上ノ越の広場に下りたって、ひと休み。木陰に入って、昨日飲み残したビールを味わった。せっかく持ち上げたビールを、持って帰ることはない。上ノ越から少し下ったところで、少し登り返すと、後は、一気の急な下りとなる。ブレーキをかける足の力も弱まって、止まらない状態での下りが続いた。
 疣岩山までの登りは、松平峠経由の方が楽である。上ノ越経由は、下山コースとして使うと良いであろう。

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