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三方岳、天上山


【日時】 2000年6月24日(土) 日帰り
【メンバー】 単独行
【天候】 雨

【山域】 東頚城丘陵
【山名・よみ・標高・三角点・県名】
三方岳・さんぽうだけ・1138.8m・二等三角点・新潟県
【地形図 20万/5万/2.5万】 高田/松之山温泉/松之山温泉
【ガイド】 なし

【山域】 苗場山周辺
【山名・よみ・標高・三角点・県名】
天上山・てんじょうざん・582.2m・四等三角点・新潟県
【地形図 20万/5万/2.5万】 高田/苗場山/赤沢
【ガイド】 新潟の里山(新潟日報社)

【時間記録】 6:40 新潟発=(関越道、越後川口IC、R.117、平滝、野々海池 経由)=10:00 深坂峠〜11:35 無線中継基地発―11:56 三方岳〜12:02 発―12:20 無線中継基地=(野々海池、平滝、R.117、芦ヶ崎、竜ヶ窪 経由)=14:00 農道入口発―14:07 天上山〜14:12 発―14:20 農道入口=(竜ヶ窪、芦ヶ崎、R.117、越後川口IC、関越道 経由)=18:20 新潟着

 信濃川は、新潟県から長野県に入ると千曲川と名前を変える。この信濃川の小千谷から飯山に至るまでの左岸沿いには、長く丘陵地帯が連なっている。この丘陵地帯の最高峰は、上流部の鍋倉山1289mであるが、中央部に位置する三方岳1130mは、これに迫る高さを持っている。三方岳の西山麓には、野々海池があり、高原のキャンプ場になっている。

 苗場山の北山麓には、信濃川の河岸段丘が発達し、高原状の地形が段々に重なっている。この河岸段丘に生じた湧水池が竜ヶ窪であり、環境庁の「名水百選」や「山の百名水」に選ばれている、新潟を代表する名水である。天上山は、竜ヶ窪の背後の段丘上の山である。

 地図を見ていて、気になるのは山道を示す破線である。その破線が山頂に通じているなら、その道を利用して、登ることができるかどうか興味がわいてくる。新潟・長野県境の三方岳も、山頂まで破線が通じている山であり、いつか訪れてみたいと思っていた。梅雨も本格化し、雨の予報が出ており、そう長時間の山歩きはできそうもなかった。遠くにあってドライブに時間がかかるために行きそびれていた三方岳に出かけることにした。
 長野県境に近づくにつれ、本降りの雨になった。国道からは、野々海池高原キャンプ場という標識に従って林道に乗り入れることができた。一気に高度を上げて到着した野々海池の標高はすでに1040m。霧の中に水面が僅かに顔をのぞかせていた。林道脇には残雪が現れ、ミズバショウの花が盛りであった。キャンプ場を過ぎて舗装された林道を道なりに走っていくと、深坂峠に到着した。この峠には、林道開通の記念碑が置かれていた。この峠の標高は、1090mに達しており、三方岳の山頂までは50m程の標高差しかない。本降りの雨であったが、僅かな登りなら、傘をさしてでも楽勝と気楽に考えた。
 破線は、峠から始まっている。登山道、へたをすると遊歩道かなと思ったが、それらしいものは無かった。林道の開削によって、取り付き部が違っているかと思い、林道上の切り通しの上に上がってみてが人の歩いた気配は無かった。峠の南側には、雪解け水によって、池ができていた。入口付近の道は水没して、池の奧に進めば道が続いているかと思って、薮をかきわけてみたが、これも外れ。踏み跡は、三方岳から天水山に続き、その手前で林道に下る道が分かれている。この道を探してみようと思い、林道の先に車を進めた。道路の上に落石が多くなったと思ったら、土砂崩れて通行不能になってしまった。まだガードレールのワイヤーも張られておらず、6月も末だというのに、冬季閉鎖のままであった。方向転換のスペースも無く、しばらくバックを続けた末、ようやく車の方向を変えることができた。峠に戻って、もう一度車道を歩きながら、稜線に向かう踏み跡がないか探したが、これも無駄足であった。
 峠の手前から無線中継基地に向かう未舗装の林道が分かれていた。地図の破線は、この中継基地のあるピークは通過していないが、この林道の開通によって、取り付き部が変わっている可能性が高かった。林道は、路面が雨水で削れている所もあり、ハンドルさばきに注意する必要があった。中継基地の回りを、道を探しながら回ってみたが、それらしいものは見あたらなかった。
 あきらめムードになってきたが、最後のダメ押しと思って、中継基地の敷地の左奧の角から、磁石で方向を決めて、三方岳のひとつ手前のピークの基部をめざし、薮に足を踏み入れた。僅か先で倒木があり、赤布が付けられた枝が落ちていた。残雪で覆われた鞍部の窪地を通り過ぎて稜線に取り付くと、はっきりした踏み跡が現れた。テープも多く付けられており、辿るのに問題のない道であった。緩やかに登っていくと手前のピークに至り、左手に曲がるように下ると、三方岳への登りになった。この鞍部付近は、薮のために踏み跡が不明瞭になっていた。少し急な坂を登ると、三方岳の頂上に到着した。切り開きの中に三角点が頭をのぞかせていた。本降りの雨のために、視界は閉ざされていたが、木立に囲まれて見晴らしは無さそうな山頂であった。
 天水山方面には、踏み跡が続いていたが、三方岳までと比べると、だいぶ不明瞭になっていた。天水山は、四つ先のピークとなるが、緩やかな稜線が続くために、天水山に到着したかどうか分かり難そうであった。また、雨の悪条件の中では、林道への下降点を見落とす可能性も高かった。天水山は、別の機会ということにした。
 下りは、あっけない時間で中継基地に戻ることができた。山頂まで歩いた時間よりも、取り付きを探すのに余計に時間がかかってしまった。
 山を下ってから、R.117沿いの竜ヶ窪と天上山に寄っていくことにした。天上山は、「新潟の里山」の後書きリストに名水百水「竜ヶ窪」駐車場から1.3km約20分。天上山直近(100m)にも駐車場あり。下りは同じコースと紹介されている山である。
 竜ヶ窪の駐車場に到着すると、雨は上がっていた。森の中の遊歩道を歩いていくと池の畔に出て、左手に進むと、お堂の下の水汲み場に出た。水を飲んでみたが、純度が高いためか、無味に近かった。ブナ林を流れる沢水の方が、美味しく感じるのは、色々な不純物が溶け込んでいるためでああろうか。研究室には、純水を作る装置があるが、その水を飲んでも美味しくはない。排水路のコンクリートの関からは、勢い良く水が流れ出していた。この池の涌水量は1日4万3000tということで、一日で池の水が入れ替わるという。池を眺めながら、反時計回りに進んでいくと、赤い鳥居とお堂が現れ、その先の崖下からは、コンコンと水が湧いていた。ここから丸太の段々が施された遊歩道が、高みに向かって続いていた。てっきりこれが、天上山に続くハイキングコースと思って歩き出した。池を見下ろすような高さまで登ったあと、遊歩道は下りに転じて、結局、始めの水汲み場に戻ってしまった。
 歩くのは諦めて、車で山頂に向かうことにした。つづら折りの車道を上がると、畑の広がる台地上に出て、山はどこかに消えてしまった。地図とあたりの地形を照らし合わせると、畑の中を進んでいった先の僅かに盛り上がった所が山頂のようであった。
 農道の入口に車をおいて歩き出した。畑にはジャガイモが植えられているようであった。木立が残されている小ピーク手前まで車道が続いていたが、草が茂っており、農道の入口付近から歩くのが正解のようである。小ピークの中央には杉が植えられており、石の祠が置かれていた。その脇に三角点を見つけることができ、山頂であることを確かめることができた。ガイドブックにある「竜ヶ窪駐車場から1.3km約20分」とは一体どういうことなのだろうか。車道を歩けということであろうか。この本に書かれていた高柳町の天王山も道が見つからなかったが、著者は実際に歩いて確かめているのだろうか。
 麓の竜神の館で温泉に入って、山は終わりにした。駐車場からは、天上山を良く眺めることができた。標高差もあり、ちょっとした小山に見える。天上山は、河岸段丘の悪戯によって、片面しか山の姿をしておらず、面白いといえば、面白い山である。

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