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南蛮山、三ノ峠山


【日時】 2000年5月14日(日) 日帰り
【メンバー】 単独行
【天候】 曇り

【山域】 長岡東山連峰
【山名・よみ・標高・三角点・県名】
 南蛮山・なんばんやま・548m・なし・新潟県
 三ノ峠山・さんのとうげやま・468.6m・三等三角点・新潟県
【地形図 20万/5万/2.5万】 長岡/長岡/半蔵金
【ガイド】 南蛮山:新潟の里山 三ノ峠山:なし

【時間記録】 9:40 新潟発=(北陸自動車道、中之島見附IC、R.8、横枕、石彫の道 経由)=11:10 南蛮山休憩場〜11:25 発―11:32 南蛮山―11:40 南蛮山休憩場=(竹之高地、横枕、R.8、長倉口、R.352 経由)=12:40 長岡市営スキー場〜12:50 発―13:19 リフト終点―13:51 三ノ峠山〜13:56 発―14:26 リフト終点―14:47 長岡市営スキー場=(R.352、長倉口、R.8、中之島見附IC、北陸自動車道 経由)=16:10 新潟着

 南蛮山は、長岡市背後に広がる東山連峰の南西部に位置する前衛峰である。このピークの東には、蓬平と長岡を結ぶ南蛮峠がある。現在、林道が山頂直下を越しており、麓の「石彫の道パーク」から南蛮山を経て竹之高地に至る道は、中部北陸自然歩道として整備されている。しかし、南蛮山の山頂への道は整備されておらず、僅かな距離とはいえ、かすかな踏み跡を辿る必要がある。

 三ノ峠山は、長岡市街地から望む時、東山連峰の主峰の鋸山の前に見える前衛峰である。北西部の山腹に長岡市営スキー場が設けられていることから、親しまれている存在ではあるが、山頂に至る道は忘れらた存在になっている。

 雨後曇りの天気予報が出ていた。未明に目を覚ますと、雨が降っており、目覚ましを停めて、そのまま眠りを続けた。連休の疲れが抜けておらず、山行きの気力も低下しているようである。遅い朝食をとり終えた頃には、雨も上がっており、ともあれ山に出かけることにした。山のリストの内から低山を考え、先週に引き続いて長岡の東山連峰の南蛮山と三ノ峠山をめざすことにした。
 南蛮山への道は、中部北陸自然歩道として整備され、入口の横枕の集落に案内板や道標が立てられている。南蛮山のガイドは、「新潟の里山」に載っているものの、山頂へはどうやら登っていないようで、展望台や南蛮峠の位置関係など不明な点が多い。自然歩道の標識に従い、まずは「石彫の道パーク」をめざした。道の左右に石彫の像が並ぶようになり、その先で、公園の入口になった。石彫を眺めると、そう面白いものは無かった。車一車線幅であるが路面の状態は悪くはない林道が続くので、そのまま車を進めた。途中で十方台展望台の入口があったので、寄っていくことにした。丸太の段々を登った小ピークの上には、古い石の祠が置かれ、その脇に古びた展望台があった。上ったが、木立が邪魔をして、長岡市街地方面だけの展望が開けていた。「新潟の里山」の地図には、この展望台の位置が記載されていないが、地形図における414ピークのようであった。林道は、高度を上げていき、南蛮山の肩の稜線部に上がると、三叉路に出た。案内図も掲示されており、直進は休憩所、右は竹之高地に通じていた。広い駐車スペースがあり、車から出ると、新潟平野の大きな眺めが広がっていた。車で登ってきたため、現在位置が判らなくなっており、地図を広げて、現在位置の確認にとりかかった。来た方向を振り返った所のピークが南蛮山の頂上のようであった。南に張り出した林道のヘアピンカーブの取りかかりにいるようであった。
 林道からの南蛮山への取り付きを見ると、かすかではあるが、踏み跡が続いていた。所々杭が埋まっているので、そのための踏み跡なのかもしれない。新緑の季節となって、薮の中の見晴らしは利かなくなっていたが、チゴユリが群落を作っていた。南蛮山の山頂へは、ひと登りであったが、山頂であることを確認するためには、少し先まで進んで、下り坂になることを確認する必要があった。最高点と思われる所は、山桜が横に枝を這わせていた。山歩きとしては、少々ものたりない南蛮山になった。
 ここまでの林道は、車のすれ違いが難しい所が続くため、あまり戻りたくはなかった。また、南蛮峠の場所を確かめるためにも、先に進む必要があった。ヘアピンカーブを過ぎて下っていくと、右手に竹之高地への道が分かれる三叉路に出た。左の道を進むと、少し先で、再び三叉路に出た。地形図を見れば、ここが南蛮峠のようであった。もっとも、竹之高地方面からの山道や古めいた石碑といったものもなく、昔からの峠といった風情は感じられなかった。
 南蛮峠の先から、三ノ峠山に続く破線が記載されているが、この一帯の山道の雰囲気からして、この道は辿れない可能性が高いように思えた。安全策をとって、竹之高地から高龍神社、蓬平を通り、大きく山を迂回して、長岡市営スキー場に向かった。
 長岡市営スキー場の駐車場に車を停めた。長岡スキー場は、夏の間は、テニス場やサマーボブスレーといった営業を行っており、家族連れなどで賑わっていた。営業中の第二ペアリフト沿いにゲレンデを登った。次の第一ペアリフトの下部で、栖吉からの山道が横切るはずであった。リフト直下の保守道を、右手の薮を眺めながら登ったが、山道は見つからないまま、リフトの終点まで登ってしまった。リフトの終点部から、荒れた林道が稜線部に向かって続いていた。ひと登りした所の広場でこの林道は終わったが、その先に道が続いていた。僅かに進んだところが切り開かれて、パラグライダーのスタート台になっていた。到着した時にも、空にパラグライダーが浮かんでいたが、ここから飛び立ったようである。
 ここからの道が問題であったが、その先にも踏み跡が続いていた。388mピーク付近で、山道が合わさるはずであるが、これも見あたらなかった。栖吉からの山道は、スキー場の開設によって、稜線通しの道に変わってしまったようである。途中で、杉林も現れたが、概ね雑木林の中の道であった。オオイワカガミ、チゴユリ、トキワイカリソウ等の花を見ながらいく新緑の薮道は気持ちが良かった。途中から、木に目印の布が頻繁に付けられるようになって、コースの心配はいらなくなった。「長岡東山ファミリーランド ハイキングコース 健脚」という黄色のプレートを見つけることができたが、古びた布の色や、道の状態からして、一旦は整備されたものの、利用者も少ないために薮に戻り始めているようであった。
 新潟の山のガイドブックは、現在、何冊も出版されている。最近も新潟県山岳協会監修ということで、「新潟花の山旅」という本が出版されたばかりである。しかし、これらの本で取りあげられるのは、いずれも同じ山ばかりである。資料として買い求めるが、その料金に見合うだけの参考になるところは少ない。その一方で、この三ノ峠山のように、知られていないばかりに薮に返ろうとしているハイキングコースも少なくない。これらのガイドに載っている50山程の山に登って、もう新潟周辺の山には登り尽くしたと思いこむ人も多いのではないだろうか。少し薮っぽいが、歩いて楽しい山は、探せばいくらでも見つかる。現在は、登山ブームと言われているが、一般向けの登山ガイド等で新しい山を示していかないことには、いずれ下火になることは間違いはなさそうである。オーバーユースの山も困ったことと思うが、薮に返ろうとする山も気にかかる。
 それほどの急登もなく、三ノ峠山の頂上部に到着した。この山には三角点が置かれていることから、それを見つけなければならない。点の記には、ここの三角点の埋設状況は記載されていなかった。踏み跡が柿川方面に向かって下りにかかるところで、左手の雑木林の中に水色の布がかかっているのに気がついた。かすかな踏み跡をたどると、杉の木があり、その前に三角点が置かれていた。杉の木は、周辺には無く、山頂の目印に植えられたもののようであった。杉の木には、「鉢伏〜赤道コース〜菅峠 県立悠久山東山自然公園 長岡市」というプレートが打ちつけられていた。南蛮峠方面への山道があったのかもしれないが、潅木の薮の下に踏み跡は見あたらなかった。眺めの無い山頂であったが、山頂に立つことができたことに満足した。
 来た道を戻り、親子連れで賑わうサマーボブスレーを横目で見ながらゲレンデを下った。

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