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白山


【日時】 2000年2月27日(日)
【メンバー】 新潟オフミ(岡本明、鈴木眞、吉田明弘、高橋恵美子、熊坂政晃、阿部比加瑠、皆川新一、西方春三郎、捧 基、高橋貴美子、福島一憲、エンタシス)
【天候】 曇り
【山域】 白山粟ヶ岳山塊
【山名・よみ・標高・三角点・県名】 白山・はくさん・1012.4m・二等三角点・新潟県
【地形図 20万/5万/2.5万】 新潟/加茂/越後白山
【ガイド】 アルペンガイド「上信越の山」(山と渓谷社)、関越道の山88(白山書房)、新潟ファミリー登山(新潟日報事業社)、新潟の山旅(新潟日報事業社)、新潟の里山(新潟日報事業社)、新潟50山(新潟日報事業社)、越後の山旅上巻(富士波出版社)

【時間記録】 
2月26日(土) 17:00 新潟発=(磐越道、安田IC、五泉、村松、蛭野 経由)=18:00 慈光寺駐車場  (車中泊)
2月27日(日) 7:25 慈光寺駐車場発―7:34 慈光寺―7:48 一合目(尾根取り付き)―8:30 三合目(尾根上)〜8:38 発―10:50 避難小屋〜11:40 発―12:55 三合目(尾根上)―13:22 一合目(尾根取り付き)―13:32 慈光寺〜13:42 発―13:51 慈光寺駐車場=(蛭野、村松、R.290、村松サクランド温泉、馬下、R.49、安田IC、磐越道 経由)=16:30 新潟

 新潟平野の東端に位置し、背後に川内山塊を擁する白山は、古くからの信仰の山として、現在では、登山の山として親しまれている。新潟周辺の山としては、冬季も入山者が多いが、これは登山口近くの駐車場まで除雪がされていること、山頂まで一本の尾根が続いてコースが判りやすく難所も無いこと、さらに山頂に立派な山小屋が立てられており、休憩に使えることが挙げられる。
 恒例の新潟の冬季オフミを白山で行うことになった。雪も締まってきているが、ワカンはまだ必要な時期ということで、2月下旬に決定。この頃なら、寒気も柔らんでいるはずであった。遠くからの参加者もいるので、そこそこに名前の知られた山。雪山やワカン歩きは始めてという人も参加するので、入山者もそこそこにいてトレースも期待できる山。ということで白山に落ちついた。
 オフミの宣伝を流したものの出足はにぶく、開催が危ぶまれたが、最終的には12名もの参加者を得ることができた。いつもの新潟オフミの仲間や各地のオフミで知り合った仲間、さらに顔を合わせるのは始めてのメール友達が集まって、一大グループになった。
 今年は暖冬であったが、2月に入って、寒波が断続的に襲来した。先週の櫛形山脈縦走の時は、この周期がうまくいった例。この週末は、土曜日は曇りであるが、小さな低気圧が東北を横切るようであった。通過後は、冬型が強まって荒れ模様になるはずであった。通過が遅くなることを祈って、予定通りのオフミ開催とした。
 土曜日は仕事のために山はお休みであったが、前夜に慈光寺駐車場に入る人達がいるので、前夜祭を開くことになった。慈光寺駐車場に到着すると、熊坂さんのテントが張ってあり、高橋貴美子さんと阿部さんが集まっていた。遅れて高橋恵美子さんに福島さん、仕事が入って来れないはずの吉田さんも現れて、賑やかな前夜祭になった。高橋貴美子さん手作りの鍋は美味しくてすっかり空になり、酒も進んだ。
 夜中に目を覚ますと、星空。この晴天がもってくれと祈った。早朝、目を覚まして、安田ICに出迎えに行き、戻る途中からは、道路をみるみるうちに白く覆うような雪が降ってきた。天気の崩れは期待していたよりも早いようであった。慈光寺駐車場戻ると全員が揃っていた。今回が、顔を合わすのは始めてという人もいた。
 他の人の顔をみようと、駐車場を歩き出したとたんに大転倒。尻からおちて、起きあがったものの、立ち眩み。昨晩の冷え込みでできた氷の上に、今降った雪が乗って滑りやすくなっていた。駐車場に入ってきた他のグループの人達も、次から次に転倒していた。地元の山岳会が、冬山訓練ということで40名ほど登るということであった。団体と一緒になると大変なので、急いで出発することにした。
 杉並木は、新雪に覆われて、荘厳な雰囲気がただよっていた。お寺までの道には、30センチ程の雪が積もっていたが、わだちがきれており、気温が上がってくれば車で入ることもできそうであった。道ばたの石仏も雪をかぶって、様々な表情を見せていた。慈光寺の門前を過ぎる頃は、雪も止んできた。滝谷川右岸沿いの登山道に入ると、雪の中に30センチ程にえぐれたトレースが続いていた。一合目の尾根の取り付きに到着したところで、上着を脱いだ。ここから三合目までは標高差250mの急登が続き、その日の体調を知ることができる。堅くしまった雪の上に新雪が乗っており、踏み出す足の置き場が分かり難かった。尾根上の鉄塔がなかなか近づいてこず、辛い登りが続いた。飲み過ぎということはないのだが、体調はいまひとつであった。
 杉林の広がる尾根上の三合目に到着して、一息ついた。ここからワカンかと思ったが、トレースは先に続いていた。尾根の上がっていく先に、白山の山頂部が高く臨まれた。ここから頂上までは550mの標高差がある。ここまでの登りで草臥れたことと、新雪の上を先頭で歩きたがっていることから吉田さんにトップを歩いてもらうことにした。いつもの単独行では、いやでもトップなので、たまには後ろから歩かせてもらおう。雑木林に囲まれた尾根はしだいに傾斜を増していく。五合目で、トレースが無くなったということで、ワカンを付けることになった。今回のテーマのワカン歩きをようやく始めることができた。ワカンは、今回が始めての人もいた。谷向こうには、城山から荒沢峰・烏帽子岳への尾根が長く続くのを眺めることができた。ひと登りした所で、団体が坪足で追いついてきた。40名の団体というので驚いたが、雪山訓練のために雪洞を掘って休むというので、避難小屋での休憩についてはひと安心。40人の団体が通り過ぎた後は、しっかりしたトレースができて、ワカンはかえって邪魔なくらい。尾根の左手には雪庇が張り出し、登山道脇には亀裂が生じているところもあった。そのまま歩いていくと、ワカン装着のために立ち止まった団体をまた追い越した。団体がまた追いついてくるのは確実で、引き離そうとしてペースを上げるのはいやなので、足の速い先頭グループは先に行ってもらって、後続グループはゆっくり登ることにした。山頂が近づくに連れ、ガスに覆われ強風が吹き付けるようになった。山頂の肩に上がる急坂では、渋滞状態になり、後ろで歩きだすのを休みながら待つことになった。
 山頂の肩に上がると、雪原が広がる。風が強まり、よろめかないように足元に注意を払う必要があった。熊坂さんと鈴木さんが赤布を付けているのを見て、それで良しとしたのを後で後悔することになった。ガスの切れ間から避難小屋が見えて、最後の頑張りとなった。疲労と寒さで、山頂よりもまずは避難小屋に転がり込むことになった。避難小屋は、雪に埋もれて、二階から出入りするようになっていた。団体が雪洞に入ったため、二階部分は、単独行と我々のグループのみになった。
 床の上に落とした雪をほうきではく状態だったので、零度に近い状態だったのだろうと思うのだが、外に比べると暖かく感じられた。ガスストーブに火を付けると、濡れた衣類からも湯気が立つ状態になった。一応、ビールで乾杯。雪の上に腰を下ろして粟ヶ岳や川内山塊の眺めを楽しみながらのビールでなかったのは残念であったが、ここまで登ってこれただけでも満足することにしよう。早めに下山して温泉へという声が出たので、昼食を一応終えた所で、出発することにした。
 外は烈風状態になっていた。下りは、坪足だけで下ることにした。一応、山頂の広場まで進んだが、強風がほおを突き刺すような状態では、記念写真もできなかった。団体は、二つの雪洞に天蓋をかぶせて休んでいた。避難小屋からの下りは、視界が閉ざされ、トレーズが早くも消えかかっていた。後ろに続く仲間に対する責任を考えると、緊張が一気に高まった。標識旗を用意してこなかったのが悔やまれた。足裏の感覚と、所々落ち込んでできた穴でトレースを探すことになった。それでもはずして、少し散らばってもらってトレースを探す場合も。三人グループが登ってくるのに出合ったら、鈴木さんの従兄弟とのこと。結局、このグループは、下山は危険ということで、団体と一緒に下ったとのこと。雪原を終えて尾根に乗りかかるところで、様子がおかしいことに気が付いた。雑木林の尾根が前方に続き、古い赤布が入口に付けられていたが、右手にそれて熊坂さんが付けたと思われる赤布があった。少し下ると、腰まで雪に埋まり、これは歩いた者はいないということになった。登り返しを叫んだすぐ後に、ガスが薄くなって、赤布の下に続く尾根が見えるようになった.
 家に戻ってから、この迷いそうになった尾根を地図で確認してみた。そのまま下っていけば802点から513点を経て、城ノ入川右岸に降り立つようである。雪も使えるこの季節とあれば、生還は可能であったはず。ただ、コース間違いをしたと気が付いて、登り返したはず。この尾根もそこそこの傾斜で登山道として使えそうであるが、ここを歩いたという記録は知らない。判らないのは、入口にあった古い赤布である。先回の峡彩ランタン会での会山行では、雑木林の中のトラバースがあったと思うのだが、今回は尾根を真っ直ぐに登って山頂に達した。最後の急登を避けるためにこの尾根に乗り換えていたのではないだろうか。いずれにせよ、直ぐに間違いに気が付いたことで良しとしよう。
 下るに連れて、風も弱まって、緊張感から開放された。足の速い人達には先に行ってもらい、後ろからゆっくり下ることにした。三合目からの下りは、急な所は尻滑りを楽しんだ。慈光寺に戻って、ここでようやく記念撮影。薄日もさしたが、山頂はあいかわらずの強風であろう。
 慈光寺の駐車場で、解散をし、半分程が村松サクランド温泉へ向かった。温泉は大盛況であったが、暖まって人心地を取り戻した。駐車場からは、白山の山頂を臨むことができた。厳しい山行であったが、記憶に残る山行になった。

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