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高知山(中退)


【日時】 2000年1月23日(日) 日帰り
【メンバー】 峡彩ランタン会会山行 L佐久間、SL武田、木村、渡辺(茂)、田村、小島、高橋(建)、岡本、中野、東海林、岡村、滝沢、岩谷、大石、小川、加藤(泰) 計17名
【天候】 曇り

【山域】 二王子山塊
【山名・よみ・標高・三角点・県名】 高知山・こうちやま・1024.0m・三等三角点・新潟県
【地形図 20万/5万/2.5万】 新潟/新発田/上赤谷
【ガイド】 片雲往来 阿賀北の山々p.193〜201、LATERNE vol.5 p.277〜278、LATERNE vol.6 p.203〜208

【時間記録】 6:00 新潟発=(R.7、新発田、上羽津 経由)=7:25 南俣〜7:45 発―9:02 作業小屋〜9:12 発―9:32 山の神〜9:42 発―10:06 堰堤―11:50 675点〜14:40 発―15:32 林道―15:39 山の神―15:51 作業小屋=(往路を戻る)=17:30 新潟着

 高知山は、二王子岳の南西に位置する山である。高知山から続く尾根は、南俣沢及び田貝沢の源流部を大きく巻いて、三王子神社付近で二王子岳に合わさっている。二王子神社から一王子神社、独標を経て二王子岳に至るコースは、四季を通じて多くの岳人に利用されているが、この高知山を経由するコースは、経験者だけがその素晴らしさを語る秘められたコースになっている。高知山があまり人目を引かない理由には、明瞭な山頂を持たないことや、地形が複雑なこと、南俣沢沿いの林道歩きが長いことが挙げられる。しかし、高知山の山頂は、大雪原となり、その向こうには二王子岳が大きく広がるのを眺めることができるという。

 高知山は以前から気になっていたが、南俣沢沿いの林道を奥に入ってようやく取り付ける山なので、なかなか出かけるきっかけをつかめなかった。峡彩ランタン会の冬山新人訓練が高知山で行われるということで、喜んで参加させてもらった。
 いつもの集合場所の鳥屋野公園に集合すると夜間施錠になっており、あわをくう場面もあったが、なんとか車に分乗して出発することができた。直前に強い寒気が入り込み、暖冬が続いていた新潟周辺にもまとまった雪が降った。道路は除雪されていたが、どこまで車で入ることができるのかが気にかかった。二王子岳登山の際に通過する南俣の集落はずれの、二王子神社への林道との分岐で除雪は終わっていた。数台の車が止まっていたが、これは二王子岳をめざす登山者のもののようであった。17名の参加者のうち数名は、スキーをはいて出発していった。坪足でもしばらくは歩けそうであったが、支度のついでにワカンを付けた。まずは林道のゲートが目標になった。以前に、二王子神社に行くつもりでこの林道を進んでしまい、ゲートの前で位置を確認して戻ったことがある。緩やかに登っていってゲート前に出ると、右手から除雪済みの道路が上がってきていた。除雪は、林道の先まで続いているようなので、ワカンを外しての歩きになった。結局、林道の奥まで除雪が行われているようなので、2km程入った所で、ドライバーが車を取りに戻ることになった。
 帰りに、この除雪道路がどこに出るかを確かめた。上羽津から南俣に抜ける途中に二王子そばという標識があり、その十字路を反対側に入ることが判った。林道の入口には、上羽津線という標識が立っていた。判りやすいのは南俣からではあるが、ゲート前まで車で入れない場合には、この林道をあたってみるのが良さそうである。
 長い林道歩きが続いた。途中で大規模な堰堤もあり、その工事のためもあるのか、未舗装ではあるが車の走行には問題のなさそうな林道であった。右手にプレハブの作業小屋を見ると、その先で除雪は終わっていた。間伐材の集積所の広場も設けられ、どうやら間伐作業を行っているようであった。除雪が無くなると、とたんにワカンが必要になった。林道が右岸から左岸に渡ると、そのすぐ先で山の神に到着した。もしも、林道が除雪されてなかったならば、ここまでの長い林道歩きで終わりになっていたかもしれない。山の神は、大きな二本の杉が並び、その背後に回ると、鳥居が立てられて、小さな石の祠が置かれていた。中をのぞくと、陽物が奉られていた。
 ここからどのようなコースを採るかが問題になる。小俣沢右岸尾根を登るということで、林道を先に進んだ。雪は一層深くなり、先頭のラッセル交代を行う状態になった。左に堰堤をみると、林道は終わった。その先は、雪の急斜面が沢に落ち込んでいた。武田さんが先頭でトラバースの踏み跡を付けてくれて、少し時間はかかったものの、無事に皆が通過できた。その先の小沢を越すのも、5m程の段差があり、通過に時間を要した。この沢の右岸尾根を登り始めたが、実際の小俣沢はもう50m程進んだところのようである。小俣沢右岸尾根は、高知山の山頂にダイレクトに登り詰める尾根ではあるが、1月の冬山では、林道の終点から沢沿いにさらに進むことは、かえって時間が取られるので、結局はこのコースで正解ということになるのであろう。始めは尾根は急斜面でヤブもうるさかったが、右手からの尾根が合わさる頃には歩きやすくなってきた。尾根の左手には谷が広がり、高知山の山頂台地に向かって明瞭な尾根が突き上げていた。それが、小俣沢右岸のようであった。地形図では、高知山の山頂は、尾根上の小突起という感じであるが、この尾根の途中からの眺めでは、どうして、立派な山に見えた。実際には、山頂の肩部にしかすぎないのであろうが。山頂までの高さを見て、時間が気になってきた。昼になっており、お腹も空いてきた。
 ようやく稜線に出ると、南側の眺めも開けた。五頭連峰が大きく広がっていた。高知山の山頂までは、あと1時間以上はかかりそうであった。どうやら、ここが地図における675点のようであった。北の谷向こうには、二王子岳の稜線が高みに向かって続き、一王子神社の杉林も良く見分けることができた。リーダーから、ここで行動打ち切りとの指示があった。稜線から一段下がった雪原に大天蓋を張り、宴会モードに入った。希望者の二名が山頂をめざしたが、ここまで冬山を登ることができたのも皆さんのおかげということで、残雪期に再挑戦を行うことにした。
 下りは、来た道を戻るグループと、西に続く尾根をたどって山の神をめざすグループに分かれた。歩きやすい長尾根ではあるが、途中で沢が切り込んで、対岸に登り返すようになるところもあり、地形を良く見る必要があった。林道に向かっての下降を開始したところで、二俣の沢の中尾根にのってしまい、雪原のトラバースで本来の尾根に乗り換える場面もあった。なかなか勉強になる歩きであった。下山を始めた頃から雲行きが怪しくなっていたが、最後の杉林の急斜面を下って林道に降り立つのと同時に雨が降り始めた。丁度、別れた往路組みが、下山してくるところであった。車を作業小屋の広場まで持ってきておいてくれたため、長い林道歩きも省略できた。
 高知山には、今回登ることはできなかった。しかし、雪の締まった残雪期の再挑戦を楽しみにしている。なかなか面倒な山なので、今回の山行はその偵察のために、大いに役だったと思っている。高知山は、「心残りの山」になった。あと一歩のところで届かなかった山。心を山に残せば、登った時の感動は一層深いものになる。
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